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カルヴァン
キリスト教綱要
礼拝説教 桜井良一牧師
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「キリストの体を造り上げる」

(2011.07.24)

聖書箇所:エフェソの信徒への手紙4章4章7〜16節(新P.356)

7 しかし、わたしたち一人一人に、キリストの賜物のはかりに従って、恵みが与えられています。
8 そこで、/「高い所に昇るとき、捕らわれ人を連れて行き、/人々に賜物を分け与えられた」と言われています。
9 「昇った」というのですから、低い所、地上に降りておられたのではないでしょうか。
10 この降りて来られた方が、すべてのものを満たすために、もろもろの天よりも更に高く昇られたのです。
11 そして、ある人を使徒、ある人を預言者、ある人を福音宣教者、ある人を牧者、教師とされたのです。
12 こうして、聖なる者たちは奉仕の業に適した者とされ、キリストの体を造り上げてゆき、
13 ついには、わたしたちは皆、神の子に対する信仰と知識において一つのものとなり、成熟した人間になり、キリストの満ちあふれる豊かさになるまで成長するのです。
14 こうして、わたしたちは、もはや未熟な者ではなくなり、人々を誤りに導こうとする悪賢い人間の、風のように変わりやすい教えに、もてあそばれたり、引き回されたりすることなく、
15 むしろ、愛に根ざして真理を語り、あらゆる面で、頭であるキリストに向かって成長していきます。
16 キリストにより、体全体は、あらゆる節々が補い合うことによってしっかり組み合わされ、結び合わされて、おのおのの部分は分に応じて働いて体を成長させ、自ら愛によって造り上げられてゆくのです。

1.教会と信仰生活
(1)教会は信仰生活に必要か?

 パウロの記したエフェソの信徒への手紙から続けて学んでいます。キリスト者の生活編と言える4章からの部分に入りパウロがまず取り上げたのは教会の一致というテーマでした。それは私たちの信仰生活にとって最も大切なことであるとともに、とても難しい課題であるとも言えるということについて前回述べました。その上で私たちの上に実現した、キリストによる救いの目的はまさに私たちが一致するところにあるということを私たちは学んだ訳です。
 ときどき「教会生活に疲れたので、しばらく礼拝をお休みして、一人で静かに信仰生活を送ってみたい」と考える人に出会うことがあります。おそらく「教会生活に疲れた」と言う言葉を正確に言えば「教会での人間関係に疲れた」と言うようなもっと具体的な問題がそこにはあると思うのです。ですから、それらの問題に対して適切な解決策を見出していくことは大切なことです。しかし、そのような人が語る「一人で信仰生活を送ってみたい」という結論は信仰生活についての大きな誤解を含んでいると思います。なぜなら、聖書は教会を、つまり信仰者の共同体を離れた一人の信仰生活を認めてはいないからです。そして残念ながら教会を離れて行ってしまった人の大半は、再び教会に帰って来た人以外は信仰生活から離れていってしまう人が大半であると言えます。その点で教会は私たちの信仰生活を支える大切な場所であると言えます。そして、聖書はそれ以上に、私たちの信仰生活は教会においてこそ本当の意味が与えられ、また成長していくのだということを語っているのです。

(2)キリストの賜物のはかり

 今日の聖書箇所の最初の部分でパウロは次のように語っています。

「しかし、わたしたち一人一人に、キリストの賜物のはかりに従って、恵みが与えられています」(7節)。

 信仰生活の中で私たちは神が豊かにその恵みを与えてくださることを願って生きています。しかし、パウロはここで神が私たちに恵みを与えられるための基準、「はかり」があると教えているのです。神様はその「はかり」に従って、私たちに一人一人にそれぞれにふさわしい分だけ恵みを与えてくださると言うのです。その基準が「キリストの賜物のはかり」と言われています。
 宗教改革者のカルヴァンはこの部分を解説して、私たちに神様が与えてくださる恵みは、私たち一人の信仰生活では決して完成することがないと語っています。その上で各自に与えられたその各々の恵みが教会で一つとされるときはじめて意味をなし、力を発揮すると言うことを教えています。つまり、私たちが神様からいただいた恵みは、ジグソーパズルの1ピースのようなもので、それ一個では意味をなしませんが、そのピースがすべて集められ、一つに組み合わされるときはじめて素晴らしい絵が現われ、その1ピースがこの絵の中でどのような働きをしているか、その意味が分かってくるのです。
 ですから「キリストの賜物のはかり」とは、神様がキリストの身体である教会を建てあげるために私たち一人一人に恵みを分配する基準を語っています。このように私たちに与えられる恵みは最初から教会で他の兄弟姉妹たちの賜物と一つにされるとき意味をなし、成長し、完成するためのものなのです。

2.教会とキリストの御業との関係

 さて、教会の一致は大変に困難であり、この生活編の取り上げる難しいテーマの一つであることを既に述べました。そもそももし、教会の一致が私たちの力や努力、あるいは知恵によって成り立つとしたら、困難であると言うよりも、不可能であると言ってもいいかもしれません。なぜならば、この世に存在するすべての人間の集団は離合集散を繰り返し続けて、一致し続けることはないからです。もし私たちが人間の力や知恵に頼りとしているなら、教会もそのような世の集団と同じものになってしまい、決して一致することはないと思います。しかし、パウロは教会の一致は神の御業によるものであり、その力は神から与えられることをここで語っているのです。
 先週の南越谷コイノニア教会で行われた黒川牧師の就職式で読まれた聖書箇所は、今日、この礼拝で取り上げている聖書箇所と全く同じところでした。私はその式の司式をしながら、この箇所を読んでいるとき、パウロはいったい何を言っているのだろうと首をかしげることがありました。この聖書の箇所で私が「一番分かり難いな」と感じたのは8から10節ぐらいまでのパウロの言葉です。ここには「昇る」とか「降りる」と言った言葉が登場しています。それではいったいパウロはここで何を私たちに教えようとしているのでしょうか。
 まずパウロはここで旧約聖書の詩編68編19節の言葉を引用しています。どの聖書解説者もこのパウロの詩編引用はかなり大胆で自由な引用であることを認めています。つまりパウロは詩編のこの言葉を本来の意味とは違った意味で引用しようとしたのです。
 それではパウロはこの言葉を使って何を私たちに言おうとしているのでしょうか。それはキリストの救いの御業と、私たちに聖霊を通してそれぞれに恵みの賜物が与えられると言うことの関係です。ここで使われている「昇る」と言う言葉は、キリストの救いの勝利を語り、そのキリストの勝利よって、私たち一人一人に「聖霊」が天から降り、私たちに恵みの賜物を豊かに与えてくださることを語ろうとしているのです。そして、キリストが今、昇天され、天においでになるからこそ、聖霊はそのキリストから私たちに送り続けられていると言えるのです。そしてこの聖霊によって豊かな恵みの賜物が私たちに一人一人に与えられるのです。またその恵みの賜物を通して教会は一つの身体として形成されて行くというのです。つまり、教会が一つになるのはこの神様の御業、キリストの救いの御業を通して私たちに与えられる聖霊の働きによると言うのです。
 このように教会一致の働きが私たちの力や知恵によるものではなく、聖霊の働きの結果であるとたら、私たちはどうしたらよいのでしょうか。聖霊の働きが私たちの信仰生活に、そして教会に豊かに働くことができるように私たちが進んで協力し、備えをすることが私たちには求められるのです。

3.聖霊の御業の働かれる教会
(1)改革派教会は分裂主義者か

 今から65年前に私たちの教会が所属する日本キリスト改革派教会がこの日本に誕生しました。しかし、改革派教会の歴史はそれ以前にも遡りまず。なぜなら私たちの教会のルーツは日本で最初に誕生した「日本キリスト教会」と言うプロテスタント教会に遡ることができるからです。その日本キリスト教会が戦争中、日本政府の圧力により他の様々な教会や教団と統合させられて「日本キリスト教団」が組織されました。戦後になって新憲法のもとで信教の自由が許されると、元々同じ信仰を持っていた数人の牧師や教会役員たちがこの日本キリスト教団を離脱して、日本キリスト改革派教会を創立させたのです。
 創立当初、わずかな教会と信徒しかいなかった改革派教会は、同じ日本キリスト教会の出身でありながら日本キリスト教団に残った人々から「教会の一致を損なう分裂主義者だ」と激しく非難されたと言います。その上で「そんな小さな教会など、すぐになくなってしまうだろう」とまで言われたと言うのです。それではどうして私たちの日本キリスト改革派教会の創立者たちは大きな日本キリスト教団からわざわざ離脱して、小さな改革派教会を作ったのでしょうか。彼らはパウロの教える「教会の一致」と言うテーマを軽視していたのでしょうか。決してそうではありません。むしろ創立者たちはパウロがここで語るような「教会の一致」を大切にしたため、この改革派教会を作ったと考えることができるのです。
 なぜなら改革派教会の創立者たちは真の教会の一致は、政府の力や人間の妥協によって生み出されるものでなく、聖霊の働きの結果生み出されるものだと考えたからです。そこで創立者たちが考えたのはその聖霊の御業が豊かに表される教会をこの日本に作ると言う課題だったのです。そのためには教会は正しい信仰を伝え、その信仰を守るための正しい教会制度を持たなければなりません。なぜなら聖霊は聖書のみ言葉が正しく宣べ伝えられるところに豊かに働かれるからです。改革派教会が大切にしている改革派信仰と長老主義政治は聖霊の働きが豊かに働かれる教会のために必要なものなのです。そして教会はそこで働かれる聖霊の力によって一致することが可能となるのです。

(2)聖霊が豊かに働かれる教会を実現する

 パウロは次のように語ります。

「そして、ある人を使徒、ある人を預言者、ある人を福音宣教者、ある人を牧者、教師とされたのです。こうして、聖なる者たちは奉仕の業に適した者とされ、キリストの体を造り上げてゆき、ついには、わたしたちは皆、神の子に対する信仰と知識において一つのものとなり、成熟した人間になり、キリストの満ちあふれる豊かさになるまで成長するのです」(11〜13節)。

 使徒や預言者、福音宣教者、牧者、教師と言う教会の働きを担う職務がここに並べて語られています。この人たちは先程触れた「キリストの賜物のはかりに従って」その恵みを受け、その働きに召された人々のことです。もちろん彼らだけが教会を造りあげて行くために集められた人々ではありません。キリストの体である教会はそこに集まるすべての聖徒(信者)たちを通して実現するからです。しかし、教会に集まるすべての人々が聖霊の働きによって恵みの賜物を受けるためには、まずここにあげられた職務を担う人々が聖書の教えを正しく伝えなければならないのです。そして聖霊の働きは彼らの働きを通して教会に豊かに実現していくのです。
 教会に正しくみ言葉が伝えられ、正しい信仰が教えられるとき、聖霊は豊かに働かれ、そこに集う者たちを成長させ、一つのキリストの体へと完成させてくださるのです。

4.愛に根ざして真理を語る奉仕

 今日の後半部分で、私たちの信仰生活の成長について次のように語っています。

「むしろ、愛に根ざして真理を語り、あらゆる面で、頭であるキリストに向かって成長していきます。キリストにより、体全体は、あらゆる節々が補い合うことによってしっかり組み合わされ、結び合わされて、おのおのの部分は分に応じて働いて体を成長させ、自ら愛によって造り上げられてゆくのです」。

 人間の体がさまざまな機関から成り立ち、その働きが協力し合って一つの生命体として成長していくように、教会はそこに集められた人々の働きが協力するとき一つのキリストの体として成長し、完成していくのです。教会に集められた私たちは、皆、この体のために大切な役目を果たしているのです。
 そこでパウロは私たちが協力し合うために「愛」と言う言葉を使っています。私たちの働きは教会の中でこの「愛」の絆に結ばれて一つとなっていくのです。そしてこの「愛」も、実は聖霊が私たちに与えてくださる賜物の一つであると言えるのです。聖霊が天におられるキリストの愛を私たちに一人一人に分け与えてくださるのです。
何度も語るように聖書の語る「愛」は私たちが普段考えている「愛」とは大きく違っています。聖書の語る「愛」は神様から出るものであり、神様の御業を担い、またその業を完成させるために与えられるのです。
 たくさんの人々が「愛」を必要としています。特に試練の中にあって苦しむ人々のために教会は「愛」を持って仕えることが大切なのかもしれません。しかし、そのとき私たちが忘れてはならないのは、聖書の語る「愛」とはこれらの「愛」を必要としている人々を満足させるためだけにあると言うことではないことです。最終目的はすべての人がキリストの体である教会に集められるためにあるのです。ですから、私たちの奉仕は、その奉仕の対象者が満足するためではなく、その人が心から罪を悔い改め、神様に立ち返るための機会を提供するためにあるのです。なぜならば、その人が本当に神様に出会わなければ、私たちの「愛」は結局は中途半端に終わってしまうからです。ですから私たちは「愛に根ざして真理を語り」続けるのです。そして皆が教会で一つとなり、キリストに向かって成長し、完成していくことを祈り願う必要があるのです。

【祈祷】
天の父なる神様。
私たちにキリストの賜物のはかりに従って豊かに恵みを与えてくださる御業を感謝いたします。あなたはその恵みを完成させるために私たちを教会に集めてくださいました。私たちの教会に聖霊を送ってくださり、私たちが頭であるキリストに向かって成長し、教会をかたちづくることができるように助けてください。そのために私たちに愛を与えてください。その愛によって互いの絆を強め、私たちが神様に仕えることができるようにしてください。
主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

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